コンサルタント・アイ  100号

『文章を書くということ』

今回のコンサルタントアイは何をテーマにするか非常に悩んだのですが、敢えて震災とは視点を変えたテーマ“文章を書くこと”について考えてみたいと思います。

数週間前のことです。何気なくインターネットを見ていたら「今度ガイジンとインタビューしないといけないんですけど、ボクは英検一級だから大丈夫かな」という英検の合格証の写真付きのデーブスペクターのツイートを目にし、思わずその場で吹いてしまいました。よくよく考えてみるとこの短い文章、外国人ではなく敢えて“ガイジン”と表現して日本人の外国人苦手意識を皮肉りつつ、自分もガイジンなのにいわゆるガイジンではない自分の位置を卑下して笑いを誘っているところなど、かなりセンスを感じました。さらに言えば、英検を持ち出しているのもいかにも日本人が持つ資格コンプレックスと英語コンプレックスをバカにしつつ、英語のネイティブスピーカーなのに多分英検を持っているから大丈夫かも…という「ネタ」自体が面白いのだと思います。

その後も彼はツイッターに怒涛のようにダジャレを投稿します。

「うっかり失言しちゃうソーシャルメディア→つい言ったぁ」
「そういえば菅総理になって内閣メールマガジンがなくなりました。いま思えばその時から「メル友ダウン」してたのかも。」
「小雪さんが赤ちゃんが出来たらきっと呼ばれる→松ケン産婆」
「復興した暁には「仙台一遇」のチャンスが必ず訪れる。七夕の短冊にそう書きたいなと思って。」
「毎日ちゃんと計測してデマを防ぐ俳優→線量役者」
「総理はLeadershipという船のトップなのだから「後悔」ではなく、ちゃんと日本を「航海」させて下さい。僕も一所懸命漕ぎます。」
「選挙に行かないとかけて、とっても危ないととく。その心は「きけん」でしょう。」

今から1週間ほど振り返っただけでも沢山のツイートがあり、上記はその中のごく一部ですが、センスあるものもやさしさを感じるものもあるかと思います。
個人的には、切れ味が光るものを挙げたつもりですがいかがでしょう。(笑)
特に最後の「危険・棄権」というネタも浦安市の選管が「液状化の被害をうける中で危険だから選挙ができない」として県選管に抵抗したニュースをベースにしたとてもシブい投稿ですよね!

実は私はこれまではデーブスペクターがテレビで発する「ダジャレ」はあまり好きではありませんでした。わざと「すべらせて」いるのでしょうが、馬鹿にした感もあり正直クドイ時もありましたし・・・(笑)

ですが、大震災の悲劇にみまわれたこの1ヶ月半にあっては、そのデーブの「ダジャレ」は輝いているように感じました。彼の「ダジャレ」が多くの人の心に不思議な暖かさを届けているように感じるのです。実際にツイッターのデーブスペクター氏のフォロワー数も急増しているらしいのです。

その人気の理由はおそらく、震災に見舞われた日本人をダジャレ連発で励まそうというデーブさんの姿勢が共感を呼んだこと、そしてそもそもデーブさんにダジャレのセンスがある点だと思います。そのセンスはどこからきているかと言えば、恐らく外国人でありつつ日本という国を知り尽くしているからこそ客観視できているからではないかと思います。それにプラスして短いながら彼の文章から人間性が伝わってくるからだと思うのです。

そもそも人間性がなぜ文章から伝わるのでしょう。

皆様はダジャレも含めて、文章を書く・発信するということを日頃どの程度行っていますか?私も自分を振り返ってみたところ、日常生活においていかに自分で文章を作る機会が少ないかを思い知らされています。その反面、最近非常に思うのですがインターネットの時代になって書くことの重要性が増したように感じます。他人の良い文章を目にする機会が増えているからかもしれませんが、ある人の書いた文章に力があれば何人もの人を経由し、心を揺さぶり、全く知らない遥か遠くまで届く。という場面に遭遇します。
ではそんな良質な文章とはどのような文章なのでしょう。論理的な文でしょうか。構成力がすばらしい文でしょうか。視座が興味深い文でしょうか。もちろん全て大切なのかもしれませんが、デーブさんの「ダジャレ」が多くの人に支持される理由、見ず知らずの人のブログに感動する理由として、もう少し適切な一言はないでしょうか。
そんな時、

【文章を書く時には、「読み味」が一番の基準となる。自分の書いたものを読んでみて、どんな印象を受けるか。文章で何かを伝える、ということが大切なのはもちろんですが、それでは実用的な文章になる。言葉の配列、リズム、響き合いに注目して、自分の文章に耳を傾けることが肝要である。】と語っている茂木健一郎氏の言葉に出会いました。

考えるにおそらく茂木氏は、「読み味」と言う言葉を使って、上質な文章は発信することによってその人の“心”を含めた自分の全ての感覚、経験の結果が相手に伝わるということを言っているのではないかと思うのです。デーブさんの短いダジャレにしても、良い「読み味」として多くの人の心に触れているのではないかと思います。
これってまさに音楽や絵画という芸術と通じますね!良質な文章にはやはり人を感動させる力があるのです。(ここでは触れませんが、私自身震災以降、辛いことを経験された方が書かれた文章を読んで何度涙した事かわかりません。)
そんな「読み味」を意識して素敵な文章をもっと読みたい。さらに自分で文章を書いて「読み味」を誰かに味わっていただきたいと思えてきました。

私もこれを機に文章で自分の考えを伝えることをしてみようと思います。文章にすることによって、全ての自分の感覚、経験の結果が反映されます。皆様もぜひ文章を積極的に発信することを心掛けてみてください。自分の文章が、いつかより深みを増すことを期待しつつ、「そうだブログでも開設してみようかな」と心に決めた今日でした。     (中山)
 

コンサルタント・アイ | 更新日:2011.04.25