コンサルタント・アイ 102号

『江戸に学ぶ』
震災から3ヶ月がたちましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
各メディアでは、報道時間は短くなったものの、未だに震災被害や被災者の方々の状況を連日伝えており被害の大きさと、長期化の様子を伝えております。
関東などでは、景気はともかく、日常を取り戻しつつある様子もうかがえますが、節電などから、震災以前に比べ町中は暗く、エアコンの使用も控えめで、家電量販店などのTV売り場もついているTVはまばらな状態です。
ただ、こんな状態も早3ヶ月も続き、さらにこの夏の電力供給量が不安視される中、皆様も節電や節約が当たり前の事との様になってきてはいませんでしょうか?
私も、通勤で地下鉄を利用しており、通路やホームが暗いと感じておりましたが、最近では、当たり前の事、あるいはこれで十分とまで感じる様になってきました。
また、官公庁を始め、各企業での節電への取り組み、また、学校などでの節電教育などが、取り上げられている報道も目にします。このような取り組みの中で人々(消費者)の意識が変化して、現状の節電・節約が当たり前になったら経済・景気はどうなるのかな?
などと考えていたら、一冊の本にであいました。
タイトルは“江戸に学ぶエコ生活術”著者は、金沢工業大学未来デザイン研究所所長のアズビー・ブラウン氏、外国人から見た江戸のすばらしさが、紹介されています。タイトルには、エコと有るように環境問題に関連した書籍の様ですが、今、日本中で取り組もうとしている事が、当たり前の生活として描かれておりました。違いは、大変おおざっぱですが、電気があるか無いかぐらいです。
個人的にも知らなかった事や、関心に値する内容が盛りだくさんでしたので、是非お勧めしたい一冊なのですが、お時間の無い方に一部を私なりに要約してご紹介します。
この本に書かれているメッセージは
“当時の人たちは今日私たちが直面しているのと同じ問題-エネルギー・水・資源・食料・人口-の多くを克服する事に成功した。これらの問題に取り組みながら、環境を大切にし、廃棄物をださず、満足のいく食事を楽しみ、経済的に活気のある社会を築きあげた。そしてその社会は私たちに、時代を超えて輝きを放ち続けるすばらしいデザインと美を残してくれたのである。”
~はじめに~より抜粋
この部分だけでもどきっとするほど、今の日本に当てはまりませんか?
では、どのように諸問題を解決していたかと言うと、大前提として江戸の町自体が、大きなリサイクルシステムでできていたことなのですが、江戸で暮らす人々は、このシステムの中で、モノ作りをし、商売に励むことで諸問題を解決してしまったのです。
当時の江戸の人口は130万人ほどですが、世界唯一の100万都市です。しかも65%が武士階級という非生産階級でした。しかし産業は、“農業・工業・商業”なので、先述した電気を用いる事で行える事以外は、現在と同じです(ただ、電気がないと現在の産業・生活の全てが麻痺してしまいそうですから、電気って偉大ですよね)。
そして、これらの産業の多くは、江戸のリサイクルシステムに順応して発展しており、生産者は、そもそもリサイクル可能な製品を市場に出し、富裕層が購入し、富裕層は廃棄ではなくリサイクルの流通にのせ、多くの消費者は、このリサイクルの流通の中で購買活動を行っている。この多くの消費者の職業はというと、これもリサイクルに関する職業であり、廃棄物の回収業者はもちろん、家具や日用品、衣類・下駄に至るあらゆるものの修理を請け負う者が多く、生産者も新品の出荷同様、修理による収益の重要性を認識していたらしく江戸はリサイクル産業が大いに盛んであった様です。余談ですが、よく時代劇に出てくる浪人が傘はりをしていますが、これも壊れた傘から使えそうな部品を取り出して再度組み立て直しているものだそうです。
そしてなによりも、このリサイクルシステムを有効に機能させたのは、江戸に生きる人々の意識で、無駄にしない・ゴミをださない・使えるモノは修理を重ねて使い切る事が美徳とする意識をもっていたから可能であったと言っています。
そして、この美徳のことを「足ることを知る」意識としています。
今回お伝えしたい事は、まさにこの「足ることを知る」から始まりました。冒頭で述べました様に、私自身、多少暗くても、暑くても、十分だよねとか、前が快適過ぎたんだよねとか感じる様になっており(私が特に美徳に目覚めた訳ではありませんが・・・)、こうした感想を他の多くの人から聞くことも少なくありません。
震災以降多くの方が、「足ることを知る」を無意識のうちに感じ、行動に移した先にある社会を考えた時、一つの方向性をこの本にかんじました。ただ、本当の江戸時代に戻るとは思っていませんし、リサイクル中心で、新品の売れない社会では、経済が停滞する等のご意見があることも十分承知しております。しかし、江戸時代の200年の間に、日本の人口は、1,200万人から3,000万人と2.5倍になっており、江戸の社会が、リサイクルだけでは無く、様々な技術革新と生産性の向上を伴いながら継続していた社会であったのだとも感じました。
最後に、今回は現在の日本、特に東京で私が感じた節電などの意識の普及の先にある社会を、勝手に想像してみましたが、人々(消費者)の意識の変化を感じ、その先にある社会を想像した場合、そこで必要なモノやサービスは何か、技術は何か、産業は何か?と考えることができます。今回お話した、江戸の様にはならないとしても、江戸の人々もまた、社会の仕組みを理解し、人々(消費者)の美徳を理解して、これらに必要な一大リサイクル社会(産業)を築いたのだと思います。電力不足は、今年だけでは無く、来年・再来年と続くとの予測も出されております。そのような中で人々(消費者)の意識や、これからの社会を想像してみる事が、皆様の起業や新規事業のお役に立てればと思っております。
是非、お試し下さい。 (長谷部 知行)









