コンサルタント・アイ 106号

    『人生の下り方』

 みなさまはある日突然余命半年と宣告されたら、残された人生をどのように過ごしますか?

以前とある市民ネットワークがこの“余命半年テスト”を実施したところ、答えは半分に割れたとの事です。
ひとつは『直ちに今の仕事を辞めて、自分の好きな事をする』
もう一方は『今やっていることを、たんたんと自分の残された人生を終える瞬間までする』というものだったそうです。

みなさまの答えはどちらにより近いですか?
では、どちらを答えた方の方が幸せな人生を歩んでいると思われますか?
当然、今やっていることをたんたんと半年続けると答えた方の方が良い人生を歩んでいると思いませんか?

 先週、日経新聞の主催するセミナー『人生の昇り方&下り方 アラフォーからの生存術』という強烈なタイトルの(笑)セミナーを聞いてまいりました。講師は東京大学名誉教授としても有名な『おひとりさまの老後』の著者でもある上野千鶴子さん。
このセミナー、女性限定でしたが会場は満席で500人のアラフォーを中心とした女性が集まり、熱気溢れるセミナーでした。セミナーの中で、受講生から事前に講師の上野氏に聞きたい質問の紹介なども行ったのですが、その質問から判断するに、そこに集まった多くの聴衆はみな悩みを抱えていて、冒頭の質問をもしされたら、半数を超える人が、ただちに今の仕事を辞めて好きなことをすると答えるような気がしました。アラフォー女性の抱える悩みは多岐に渡っています。仕事のこと、結婚のこと、出産のこと、夫婦のこと、そして親の介護のこと自分の健康のこと。

 たしかに私自身20歳になった時、30歳になった時より40歳になった時の方が色々な意味で大きなショックを受けたような気がします。そのショックとは、やはり人生昇り坂だけではないという事を経験によってわかっているからこそ、年齢としてピークを過ぎ、下り坂にさしかかった事を改めて意識し、戸惑ってしまったのではないかと思うのです。

 今回の講演を聞いて感じた事は、人生昇り坂だけではないことを改めて理解したこと、そして下り坂をコロコロ転げ落ちないためにはやはりそれなりの準備と下り方のある程度のスキルを身につけておく必要があるなという事です。 これまで昇り方はいろいろな人が教えてくれましたが、下る方法については教えてもらった記憶がありません。そして上り坂よりは下り方がノウハウもスキルもいることは、山登り経験者の私は良く知っています。

 講師の上野氏はこの下り坂にさしかかった時の考え方のキーワードとして、“小さなピークを繋いでいく”とおっしゃいました。ここで言うピークとは人生の目標、夢、夢中になれることなどを指すと考えてよいでしょう。
老いても人生はまだまだ続きます。大きなピークは期待しないまでも小さなピークを作ることは可能です。ピークを作るときのコツはある程度の負荷をかけ、自分のハードルをある程度上げてることによってテンションもあがるとのことです。それに息抜きと気分転換を適度に加えれば下り坂も楽しく感じるとのことでした。皆様もこの小さなピークを繋ぐという言葉の意味を噛みしめてみて下さい。

 ところで、人生ばかりではなく経営においても上り坂・下り坂両方があるかと思います。ここでも下り坂のノウハウは確かに誰も教えてくれません。人生は年齢という意味では下り坂の後には昇り坂はありません。

 しかし経営は違います。

下り坂の時に、このノウハウやスキルを知って上手に下って行けば、ある時昇り坂へのチャンスを掴むことも出来るのではないでしょうか。 そう捉えれば、上手に下る事の大切さを痛感させられます。

もちろん成長を止めて現状維持でOKと言っているのではありません。ただ、年齢相応に自分の体力気力が落ちている現実を突きつけられる今日この頃、一歩引いてこれまでの自分を見直し、これまでとはまた違った知識をインプットする時間を改めてとってみようと感じたのでした。

ちなみに下り坂は楽しいことばかりではないかもしれないけれど、ふと周りに目をやると、新しい発見がそこにはあったり、これまでとは違う縁に恵まれたりと、決してそこに広がる景色は悪くはないのではないかと個人的には思います。

皆様ももし現状が下り坂だなと感じている方がいらっしゃいましたら、一度俯瞰してみてこれまでとは違った見方で新しいものに挑戦して新しいピークを作るのというのはいかがでしょう。
今回のコンサルタント・アイが、ご自分の人生とビジネス、両方の下り坂について前向きに考えるきっかけになれば幸いです。(中山知美)

 

 

コンサルタント・アイ | 更新日:2011.10.22