診察を受ける患者さんよりも定期的な処置や検査を受ける患者さんが多い

かかりつけの医院として患者さんを獲得したいと思っていらっしゃる先生は多いと思います。

厚生労働省が調査した2014年の「受療行動調査」によると、外来患者が病院に行く理由として次のような理由があります。病床数が20床から99床までの小病院では、症状を見てもらう33.1%、定期的な薬の処方を受ける22.5%、リハビリテーション8.6%、検査を受ける、または検査結果を聞くが17.8%、予定された注射や処置が7.0%、その他4.1%、無回答が6.9%でした。

小さい医療機関になればなるほど、突発的に生じた病気やケガを診てもらう診察よりも、定期的な処置や検査を受けることで医療機関を利用している実態が明らかになっています。

しかし、その一方でなかなか、患者さんの獲得に悩んでいらっしゃる先生も多いようです。どうして、かかりつけ医として自分の医院を選んでくれないのでしょうか?

定期的な処置や検査を忘れている患者さんの割合は実は多い

実は、医院の雰囲気や優秀なスタッフがいること、専門性や技術力の差などは、医院を選んでくれる理由とはほとんど関係がないのです。

かかりつけ医として選んでもらえる医院とそうでない医院の差は、かかりつけ医として「思い出してもらえるか、思い出してもらえないか」の違いなのです。つまり、ちょうど良い頃合いに患者さんにアプローチをすることができた医院が、かかりつけ医に選んでもらえる医院というわけです。

では、ちょうど良い頃合いとは一体、いつ頃なのでしょうか?

 

1カ月後には何らかのアプローチを取るのが良い

ドイツの心理学者のヘルマン・エビングハウスは、記憶と忘却時間の関係性を実験しました。意味のない3つのアルファベットの羅列を被験者に覚えさせて、その記憶がどのくらいのスピードで忘れられていくのかを記録していきました。

それをグラフ化したのが「エビングハウスの忘却曲線」と言われています。この実験によると、20分後には42%、1時間後には56%、1日後には74%、1週間後には77%、1カ月後には79%が忘れているという結果が出ました。

 

同じように、全く初めての初診の患者さんの8割方は、1カ月後には、いつ自分が何という名前の医院で、いつ診療したかということを忘れているかもしれないのです。つまり、かかりつけ医として患者さんに来院していただくためには、患者さんに医院に来ていただく行動を取ってもらう必要があるのです。

そのためには、定期的な処置や検査が必要である、ということを思い出していただくことが重要です。たとえば、歯科医院であれば、定期的な歯のチェックは虫歯を予防することにも繋がります。特に高齢者の方にとっては、歯を残すことが、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上にも繋がりますから、とても生命に関わるとても重要なことになります。しかし、検査の情報が的確な時期に患者さんに伝わっていないということも少なくないのです。

 

3カ月に1回のアプローチでかかりつけ医率が9割以上

ある歯科医院では、3カ月ごとの検診を患者さんに勧めています。ただ勧めるのではなくて、検診を受けた日からちょうど3カ月後に、スタッフが直接、患者さんに電話連絡をしているのです。患者さんは、スタッフからの連絡によって初めて、前回の検診から3カ月経ったことを思い出す方も多いとか。

しかし、患者さんへの直接の連絡によって、その歯科医院をかかりつけ医として選ぶ確率は9割以上になるようです。医療技術を向上させて行くことももちろん必要ですが、患者さんに医院を思い出してもらうために、定期的にコミュニケーションを取ることも重要なのです。

1カ月や3カ月といった検査や検診のご案内をハガキで送ったり、各疾患の予兆例などを記したフリーペーパーなどを送付するというのも効果があります。その予兆に適した患者さんが来院されるケースは少なくありません。

 

まとめ

より多くの患者さんに自分の医院に来ていただくためには、さまざまな工夫が必要です。しかし、高度なプロモーションの技術やマーケティングの技術が必要ではありません。むしろ、患者さんが忘れていることを思い出してもらう工夫をする、または、患者さんが販促物を見るタイミングを見計らうなど、お金を掛けずとも、ちょっとした工夫でいくらでも患者さんを増やすことができるのです。

医療・福祉 | 更新日:2017.06.15