大きな設備投資で破たんをする病院が増える

少子高齢化によって新たな患者さんが確保しにくい状況にある中で、病院経営は地方を中心に厳しさを増しているといいます。しかし、都市部にあっても設備投資の失敗で倒産に至ってしまう病院は少なくありません。設備投資で事業を拡大、発展させていくためには、きちんとした利益計画を策定することが大切です。

2016年の医療法人、病院の倒産件数は34件で前年度比の36%の増加になりました。倒産に至る病院は地方で多い傾向にありますが、都市部であっても働き手である医師や看護師の不足問題、医療機器の高額化、将来の医療報酬、介護報酬の引き下げなどで、経営環境は厳しさを増しているのが現状です。

投機的な投資が本体の利益を食いつぶす

事業拡大には大きな設備投資を行うことが不可欠ですが、設備投資に失敗する病院も増えています。経営破たんしたある地方の病院では、ベッド数は185床、救急、内科、外科、脳神経外科など多数の外来診療部門を有し、人間ドック、健康診断などの検診サービスも提供して収入を向上させていました。

しかし、見通しの立たない拡大をすることで、経営が立ち行かなくなってしまったのです。同病院は、検診サービスの拡大を目的に人間ドック、脳ドックのための最新設備を導入した医療施設を開設。投資資金を総額7億円にも上る借り入れで賄いました。

しかし、借り入れで投資資金を調達した結果、金利負担が増えただけでなく、高額な家賃、医療機器のリース代など固定費が大きくかかり、開業初年度から大幅な赤字。既存の医療施設の利益を食いつぶして収益を圧迫、傘下に収めた医療法人の経営にも失敗して、倒産の憂き目に遭ってしまいます。

また、想定外の人手不足で資金繰りが悪化する事例もあります。ある地方都市の医療施設は、人工透析の権威の理事長を抱え、地元で収入を着実に増やしていました。

ところが最先端の人工透析治療や無痛計画分娩を実践できる医療センターの創設を画策。金融機関からの6億円の借り入れで、医療施設をつくったものの、人手不足から担当の医師が見つからず、開院を延期したところ、資金繰りが急激に悪化して、経営破たんに陥りました。
 

きちんとした利益計画の策定を

この2つの破たん事例を見ていると、そもそも新しく始める事業に、きちんとした利益計画があったのかどうかが疑われるところです。最新の医療機器を導入することはいいとしても、果たしてそれに見合う検診需要があるのかどうかを調べみる必要はあったでしょう。もちろん、最新の医療機器を導入して検診サービスを提供するとなれば、周辺だけではなく、首都圏全体での競合分析も必要になります。

また、収益が軌道に乗るまでの余剰資金も確保することが大切です。昨今では医療関係者の人材不足が常態化しており、倒産した病院のように人手不足で開業ができないケースも少なくありません。

このような時に借り入れで投資資金を全額調達すると自転車操業のような状態になってしまいます。一つでもボタンをかけ間違えば、即破たんのような計画では、実行しない方がましです。このように大きな経営判断を迫られる設備投資では、きちんとした利益計画の策定が必要になるのです。

医療・福祉 | 更新日:2017.07.14