赤字になったら前期の法人税を取り戻せる 「欠損金の繰戻しによる還付」制度とは?

黒字経営にこだわりを持ち、キャッシュフローの改善を試行錯誤している経営者は多くいらっしゃるでしょう。とはいえ経済環境の急激な変化も起こり得る昨今、急に経営悪化によって赤字経営になることも少なくありません。

「今までは黒字決算だったけど、今期は赤字決算になってしまった!」というときに、前期に納付した法人税の一部を戻してもらえる「欠損金の繰戻しによる還付」制度を解説します。

資本金1億円以下の法人が利用できる制度

「 欠損金の繰戻しによる還付」制度とは、“前期は黒字だったけど、今期に赤字になってしまった会社”が前期に納付した法人税の一部を返してもらえる制度です。還付を受けられる要件は以下となります。
【対象となる法人】

●期末の資本金が1億円以下の法人
※親会社の資本金が5億円以上かつ100%子会社の場合は対象となりません。

●次の3つの要件を満たしている
(1)還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について、連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。
(2)欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること。
(3)上記(2)の確定申告書と同時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出すること。
 

還付金額の計算方法を押さえておこう!

還付請求できる金額の計算は以下となります。
「還付所得事業年度(前期)の法人税額」×「欠損事業年度(今期)の欠損金額」÷「還付所得事業年度の所得金額」

具体的な数字で算出してみましょう。
●前期の所得金額(黒字):2,000万円
●前期に納付した法人税:600万円
●今期の欠損金額(赤字):1,000万円
600万円×1,000万円÷2,000万円=300万円
還付金額は300万円になります。

なお、還付の対象になるのは“法人税”のみで、法人事業税と法人住民税は還付されません。ただし、法人住民税に関しては、翌期以降に繰越控除を受けられます。


デメリットとしては税務調査に入られる?

繰戻還付制度を利用すると、税務調査に入られる可能性が高くなります。還付請求書を受け取った税務署長は、「その欠損金額や必要な事項について調査した上で法人税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知する」と規定されているためです。必ずしも税務調査に入られるわけではありませんが、本制度を利用する際は専門家に相談した方が良いでしょう。

今回は「解散等による特例適用」などについては解説を省略しています。より詳しく知りたい方はお問い合わせください。

税務・会計 | 更新日:2017.09.15