生産性を上げるIT化・省力化に注目

中小建設業の労働生産性は、1996年から2016年までの20年間でほぼ変わらないことが、内閣府の調査で明らかになっています。

今から10年後には高齢の技術者が大量に退職するため、このまま労働生産性が上がらない状態が続くと、日本の建設業を担う人材が大量に不足することになります。

これからの人材不足を補うため、そして労働生産性を上げるためには、どのような方法があるのでしょうか?

中小建設企業の生産性は横ばい

そもそも労働生産性とは、付加価値額を従業者数で割った数のことをいいます。

中小建設企業の労働生産性について内閣府が行った調査によると、1996年の一人当たりの生産性は702万円、そして2016年の一人当たりの生産性は700万円だったことがわかりました。
これに対して、大企業では一人当たり1,541万円と、中小との開きが約2倍あります。

この大企業と中小建設企業の労働生産性の差を埋めるために注目されているのが、“IT化”“省力化”というキーワードです。IT化や省力化の施策により、効率化された事例が多く共有されるようになりました。


“IT化”の成功事例

ある中小建設企業では、スマートフォンを活用した社内SNSを大々的に導入しました。
孤立しがちな若手の現場監督に対して、相手の顔を見ながら相互に情報をやり取りできる“FaceTime”というアプリを使用して、本社から動画で状況を確認して現場監督をサポート。

これにより、相手の表情を見ながらコミュニケーションが取れたり、動画で現場の状況を把握できたりするため、的確な指示を出すことができるようになり、若手社員も自信がつくようになったそうです。そしてこのサポートで作業が効率化されるとともに、若手社員の離職も防げるといいます。
 

また、作業記録ノート“野帳”をタブレット端末に置き換えるアプリも登場しました。
建設現場では杭1本ごとに、どのような施工をしたか記録する必要があります。
現場で作成ができず、事務所に戻ってエクセルなどの表計算ソフトに入力することも多いようです。

空き時間に入力できることに加え、データはクラウド上に保存されるため、現場で入力したデータがすぐに事務所で印刷できるようになりました。これにより、1日1時間以上の業務時間を短縮することができたそうです。


製品の改良やロボットで労働生産性を上げる

一方、省力化を促す製品やロボットも話題となっています。

例えば、株式会社ブリヂストンでは住宅の床下に配管する水道用のパイプを省力化。従来の製品は2人以上で配管をする必要がありましたが、1人でも作業ができるような製品を開発しました。

また、株式会社神戸製鋼所は溶接作業を自動でできるロボットシステムを開発しました。
溶接工で高い技術を持つ技術者は高齢化などで少なくなっています。
そこで、ドローンによる設計の効率化、工事自体のプロセスの見直しなども行われています。
 

こういったIT化・省力化の成功事例をうまく取り入れることで、会社の生産性を向上していきましょう。

建設業 | 更新日:2018.03.15