大王製紙元会長背任事件に学ぶ「会社私物化の愚」

大手製紙会社・大王製紙元会長による、子会社からの巨額借入による背任事件。「100億円ともいわれる借入総額」「借入金のほとんどをカジノに費やす」といった、通常の感覚とはかけ離れたエピソードは、巷の経営者にも大きなインパクトを与えました。ここで社長さんに確かめていただきたいのは「会社を私物化して公私混同した支出をしていないか?」ということです。胸に手を当てて考えてみましょう。

社長の公私混同は誰も注意できない。でも、社員は気付いている

「裸一貫で立ち上げた自分の会社なのだから、必要な支出を経費にしたい」と考える社長さんがいるかもしれません。気持ちは理解できなくはないのですが、公私混同の振る舞いは、社員や取引先、金融機関に悪い影響を与えます。どんな支出が公私混同にあたるのでしょうか?
一般的に見て、主に次のような行為は「会社を私物化している」とみなされます。
・勤務実態がほとんどない社長の家族に、高額な役員報酬を支払っている
・社長夫人が自宅の家電製品等の領収書を会社の経費として計上している
・一人暮らしを始める社長の子供に社宅としてマンションを購入・賃貸している
・会社名義のクレジットカードを社長とその家族が使っている
・社長個人の高級車を会社名義で購入している
・同族関係者が経営する会社との取引で、価格や条件で破格の優遇措置を取っている
・会社の営業活動とは無関係なものを社長の趣味で購入し、会社の資産として計上している
・社長のゴルフ費用や遊興費を交際費として処理している
社長の公私混同な振る舞いについて、社内で注意できる人はいません。大王製紙の事件にしても「オーナー一族には逆らえない」と、子会社各社での取締役会の決議や貸借契約書の作成などが行われないなど、“超法規的融資”が実行されていたほどです。
しかし、社員は意外と社長の会社の私物化ぶりに気付いているものです。あまりにも度が過ぎると、社員のモチベーションが低下し、業績悪化の遠因になります。そして「社長がやっているから、自分も大丈夫」と、社内不正に手を染めやすい企業文化が醸成されてしまう危険性があるのです。


社長の公私混同支出は銀行や税務署からもチェックされる

金融機関が融資先の格付けを行う際、経営者が公私混同をしているか否かがチェックポイントになっています。業績が悪いのに個人的だと思われる支出が目立つと、融資を断られるケースが多いようです。
また、支出の公私混同ぶりは税務調査でも厳しくチェックされます。家電製品、自動車等の個人的な支出が経費として否認され、社長への給与となるケースが後を絶ちません。そうなると、さまざまな税金が上乗せされます。
そうした観点からも、支出の公私混同は絶対にしないことをおすすめします。大王製紙の事件をきっかけに、いま一度考えてみることをおすすめします。

トピックス | 更新日:2011.12.15