てるみくらぶ破たんが示す低価格路線のリスク

低価格ツアーで有名な旅行会社・てるみくらぶが、3月末に航空会社への発券費用が支払えずに破たんに追い込まれました。2,500人の日本人旅行者が海外の旅行先に取り残されたり、代金を前もって払い込んだ8万~9万人もの利用者の旅行が催行されなくなるなど、前代未聞の被害をもたらしました。

徹底的な低価格路線は企業体力を消耗し、破たんにつながるリスクが大きいことを、この例は示しています。

外部環境の変化に対応せず格安ツアーに注力

「激安ヨーロッパフリープラン パリ・ロンドン・アテネ 5泊64,000円~」「夏旅ハワイ 6日間99,800円~」「激安サイパン4日間11,800円~」など、てるみくらぶは人目を引くような格安ツアー商品をセールスポイントに掲げ、旅行客の支持を得てきました。

こうした格安ツアーが可能だった背景には、2000年代初頭、航空会社が「ジャンボジェット」と言われた大型飛行機を中心とした路線を多く開設していたことがあります。搭乗率を少しでも上げるために、航空会社は航空券を安売りし、さまざまな旅行会社が格安ツアーを企画していました。

 

その後、2010年に日本航空が経営破たんするなど、航空会社各社は経営状態が苦しくなりました。そこで不採算路線を見直し、旅客機の座席数を絞り、単価を下げなくても搭乗率を上げられるようにするなど、各社が収益確保へとかじを切り出したのです。

こうなると旅行会社は航空券を安く入手できなくなります。外部環境の変化を受け、大手旅行会社は周辺事業や地域振興への進出を行い、経営の多角化へと着手しました。しかし、てるみくらぶは外部環境の変化に対応せず、依然と格安ツアーの販売を続行。低価格路線を貫きました。

 

薄利多売のために打ち出した「自転車操業」

行き過ぎた低価格路線では企業体力を疲弊させます。航空会社から以前のような安価で航空券を仕入れられなくなると、利益を確保できず、薄利多売のビジネスを強いられます。そこでてるみくらぶは「1件でも多くの顧客を集めるため、低価格を訴求した広告を大量に出稿」「航空会社やホテルに支払う現金を調達するため、ツアーを申し込んだ顧客に予約翌日までに代金一括振込を促す」といった「自転車操業」での資金繰りが行き詰まり、破たんしたのです。

 

ここでのポイントは、てるみくらぶが外部環境の変化に対して、有効な手を打たなかったことにあります。航空会社の不採算路線見直しや座席数縮小で、航空券調達単価がアップした際に、「ツアー価格の見直し」や「新事業への進出」など、低価格路線にとらわれない対策を打つべきだったのかもしれません。

低価格路線は、外部環境の変化にもろいものです。差別化の一環として行いがちですが、行き過ぎた低価格路線は、企業体力を奪うだけで、何のプラスにもなりません。低価格路線のリスクを、てるみくらぶの破たん劇があらためて認識させてくれたのではないでしょうか。

トピックス | 更新日:2017.05.15