「競う」より「連携」 自社の価値観だけにとらわれず新たな一歩を

熊本市では、地域の医療機関やかかりつけ医の先生方同士が連携し、患者が病状に応じた適切な医療を選択できるように情報や医療サービスの提供をしています。

熊本市は、2010年に「県内統一カルテ」を全国に先駆けて導入しました。

その結果、がん治療は死亡率が全国平均より下回りました。また、1人当たりの医療費が全国平均より1割ほど高くなったそうです。ほかにも多くの成功事例があります。

今回は競合他社との「連携」について詳しくみていきましょう。

競合他社とは「戦う」ではなく「連携」する

自社と利益を奪い合う企業であっても、協力できるところは協力し、互いに力を合わせてより大きなビジネスにつなげていくことを「コンソーシアム」といいます。

現代のような情報化社会においては、競合他社と「戦う」ではなく「連携」することで、これまでとは違うターゲットの顧客に情報を発信できたり、アプローチできたりすることがあります。

なぜなら、ある商品やサービスに興味を持っている人は、それに関連した情報に興味・関心があるからです。このことは心理学的に明らかにされています。


競合他社と連携することによって、間接的に競合している企業から顧客を紹介してもらえたり、直接的に競合している企業が思いがけず自社の広告塔になってくれたりするケースもあります。

このように自社だけでは得られない利益を掴むチャンスが連携にはあるといえるでしょう。


カルテ統一で医療機関の連携を図る熊本市

先にお話しした通り、熊本市では「県内統一カルテ」を全国で初めて導入しました。

カルテを統一したことにより、患者は治療の経過にしたがって、より適切な治療を受けられる医療機関を選べるようになりました。
 

たとえば、がんの専門的な治療を受ける場合、「まずは専門的技術がある大病院で治療を受け、治療のメドがついた時点で自宅近くの医療機関に通院する」というようにです。

治療経過の進捗確認は病院のコーディネーターが行っています。

患者にとっては通院時間や待ち時間が軽減され、満足度アップにつながるでしょう。

医療機関にとっては各院の強みを生かせ、すみ分けができるようになったことで、増患を期待できるようになりました。
 

患者のもうひとつのメリットとして、医療機関同士の情報開示により、治療や検査の見通しをたてやすくなったこともあるでしょう。熊本市では、定期的に受診する患者も以前より増加したそうです。

このように連携によって生まれた新しいサイクルが、熊本市のがん死亡率を下げているといえそうです。


競合他社とのいままでとは違った「連携」による協力関係を、考えてみてもよいかもしれません。

医療・福祉 | 更新日:2017.09.15