事業場外労働制その2
同じ会社(阪急トラベルサポート)の同じ職種(添乗員)の労働者の訴えに対し、同じ裁判所(東京地裁)が異なる判断を下した。
先月は、事業場外労働制適用の妥当性に関する「裁判所が下した2つの判断」について紹介しました。
今回は事業場外労働制の要件について解説していきましょう。
●事業場外労働制の適用要件
事業場外労働制の適用対象となるためには、次の2つの要件を満たすことが必要です。
① 労働時間の全部又は一部を事業場外で従事すること
外勤の営業マン・取材記者、先月紹介した添乗員等が該当します。
② 使用者の具体的な指揮監督が及ばないために労働時間を算定することが困難な業務であること
行政の通達によると、次のような場合には、使用者の具体的な指揮監督が及んでいる (=労働時間を算定することが可能)ということで、事業場外労働制の対象とならないものとされています。
イ 何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合
ロ 事業場外で業務に従事するが、無線やポケットベル(携帯電話)等によって随時使用者の指示を受けながら労働している場合
ハ 事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示どおりに業務に従事し、その後事業場に戻る場合
上記イロハのうち、特にロに関する判断が難しいところです。今はほとんどの人が携帯電話を所持しています。会社は原則労働時間管理の義務を負っており、また労働者の携帯電話番号を把握しているケースが多いのが現状です。
つまり、思い立った時に指示し、報告を求めることができるわけで、「労働時間を算定することが困難」というケースは極めて少ないのではないでしょうか。
特に、会社の携帯電話を貸与しているような場合には、事業場外労働制の適用が否認される可能性が高くなります。
事業場外労働制の導入には、上記の「適用要件に該当しているか」「適用要件に該当させることができるか」をよく検討しておかなければなりません。(既に導入されている企業も、「適用要件に該当しているか否か」を再確認しておく必要があるでしょう。)
社会保険労務士 笹島 敏邦









