事業場外労働制その3
今回は、事業場外労働制を適用するときの「手続上の要件」について整理していきたいと思います。
また、先月の29日に、またまた阪急トラベルサポート添乗員の事業場外労働制に関する判決が東京地裁から下されました。
同社の事業場外労働制における「みなし労働時間」の取扱いを巡っては、東京地裁で今年5月と7月に訴訟の判決があり、それぞれ「労働時間の把握は可能で、事業場外労働制の適用条件を満たしていない」とするものと、「労働時間の把握は困難で、事業場外労働制(みなし労働時間=11時間)の適用は妥当」とするものがあり、判断が割れていました。
そして、今回の裁判では、事業場外労働制適用の妥当性は認めたものの、未払い残業代と同額の付加金を合わせて2,276万円の支払いを会社に命じる判断が下されました。
なぜ、事業場外労働制の適用が認められたにもかかわらず、ほぼ原告6名の主張通り(2,428万円)の支払いが命じられたのでしょう?
まず、事業場外労働制の適用について。
「交通機関を利用した長距離の移動の際、適宜休憩を挟める」「出国・入国の飛行機内で睡眠をとっている時間がある」等の点を考慮して、「全ての時間を労働時間として取り扱うのは相当でなく、労働時間から解放されている時間を逐一把握することも困難」ということから、「労働時間を算定は困難」とする会社側の主張が認められました。
一方、みなし労働時間(11時間)については、「労使間の合意ではなく、会社の一方的な判断」と退け、ツアー日報などを基に「日ごとのみなし労働時間の認定方法」により、未払い残業代を算出したとのことです。
東京地裁が下した3つ目の判断も、いままで2回の判断と異なるものでした。何を信じていいのやら・・・。
●手続上の要件は
これまでも説明してきたように、「事業場外労働制によるみなし労働時間」の適否の判断は、非常に難しいものがあります。
また、事業場外労働制による「みなし労働時間」を採用するためには、手続上の要件についても理解しておく必要があります。
【就業規則】
事業場外労働制を適用する場合には、次のような規定を就業規則に盛り込む必要があります。
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(事業場外労働制)
第●●条 従業員が労働時間の全部又は一部について、事業場外で労働した場合において、労働時間を算定することが困難なときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、事業場外の労働について、当該業務を遂行するため通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、通常必要とされる時間労働したものとみなする。
2 前項但書の場合において、通常必要とされる労働時間について労働基準法に定める労使協定を締結した場合には、労使協定で定める時間労働したものとみなす。
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【労使協定】
上記第2項の場合には、労使協定の締結が必要です。また、労使協定で定めた時間が法定労働時間を超える場合には、所轄の労働基準監督署長への届出が必要になります。
なお、労使協定には、「対象とする業務」「みなし労働時間」「有効期間」のほか、「時間外労働の取扱い」や「休日・深夜労働の取扱い」について定めることになります。
社会保険労務士 笹島 俊邦









