就業規則を従業員に周知していますか?
もうすぐ、4月、新しい社員やパートさんたちが入ってくる時期です。会社としては、最後の追い込み準備で忙しいことと思います。それでは、従業員を雇い入れる前にもう一度、労働契約法の「契約」についておさらいしてみましょう。
「雇用関係は契約関係である」-これが労働法の原則です。
しかし、世間一般では、従業員は会社を支える一部なので、会社に入れば会社の言うことを聞くのが原則、と考えている会社が多いのではないでしょうか。しかし、これでは、裁判所に行っても通用しません。
労働契約は労使当事者間の合意によって成立する契約で、口約束だけで成立します。労働契約法第4条第2項では、契約内容等をできるだけ書面で確認することを求めています。これは、トラブル防止の観点によるものです。
しかし、日本では欧米諸国とは違って、労働契約を結んでいる会社は少ないのが実情です。これは、就業規則が労働者の規律を定めていると考えられているからです。ただ、先程述べたとおり、従業員は会社の歯車の一部ではなく、会社と同等の立場にあり、契約締結には双方の合意が必要というのが法律の大原則です。
ただし、大切な労働条件に関しては、労働基準法第15条第1項で書面での明示義務があり、これに違反した場合、労働契約自体はただちに無効とはならないものの、30万円以下の罰金という罰則があります。この書面で明示すべき労働条件については、当該労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えないとされています(平11・1・29 基発第45号)。
また、労働契約法第7条では、採用の際に、会社が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知すれば、それが労働条件になると定められています。ここで重要なのは、「採用時」「合理的な労働条件」「労働者に周知」です。
特に、「採用時」は非常に重要です。就業規則がなかった事業所で、すでにその労働者のいる労働条件を引き下げるために、新たに就業規則を作成して、それまでの個別の労働契約で定めた労働条件よりも低い労働条件を定めるような場合は、この条項は適用されず、第10条の就業規則の変更ルールが適用され、もっと厳しい要件が課されることになります。
ですから、新たに従業員を雇い入れる場合には、合理的内容の就業規則を従業員に周知させておいたほうが、のちのち大変な思いをしなくてよい重要なポイントとなります。なお、就業規則は、個別の労働契約で定めきれない内容の補充の役割を果たしますので、個別の労使当事者間において、就業規則と異なる内容の労働条件の合意がある場合には、その部分については就業規則より個別の合意が優先されます。
社会保険労務士法人すずき事務所
特定社会保険労務士 中川 美弥
執筆者紹介:法学修士。学校法人総務課、
大阪の社労士事務所を経て、当事務所勤務。
労使紛争防止、解決に特化し、中小企業の
事業主様の強い味方となるため、日々研鑽
を積んでおります。









