東北地方太平洋沖地震に伴う労働基準法等に関する取り扱い(3)

 初めに、この度の東北地方太平洋沖地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、そのご家族、被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。そして、被災地域の一日も早い復興をお祈り申し上げます。


 今回は厚生労働省から出されている様々な取り扱いのうち、4月27日に新たに追加された事項の中から、労働基準法第33条(災害時の時間外労働等)、労働基準法第36条(時間外・休日労働協定)、について取り上げたいと思います。


【Q1】今回の震災により、被害を受けた電気、ガス、水道等のライフラインの早期復旧のため、被災地域外の他の事業者が協力要請に基づき作業を行う場合に、労働者に時間外・休日労働を行わせる必要があるときは、労働基準法第33条第1項の「災害その他避けることができない事由によって、臨時の必要がある場合」に該当するでしょうか。

[A1]労働基準法第32条においては、1日8時間、1週40時間の法定労働時間が定められており、これを超えて労働させる場合や、労働基準法第35条により毎週少なくとも1日又は4週間を通じ4日以上与えることとされている休日に労働させる場合は、労使協定(いわゆる36協定)を締結し、労働基準監督署に届けていただくことが必要です。
 災害その他避けることのできない事由により臨時に時間外・休日労働をさせる必要がある場合においても、例外なく、36協定の締結・届出を条件とすることは実際的ではないことから、そのような場合には、36協定によるほか、労働基準法第33条第1項により、使用者は、労働基準監督署長の許可(事態が急迫している場合は事後の届出)により、必要な限度の範囲内に限り時間外・休日労働をさせることができるとされています。
労働基準法第33条第1項は、災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることのできない場合の規定ですので、厳格に運用すべきものです。なお、労働基準法第33条第1項による場合であっても、時間外労働・休日労働や深夜労働についての割増賃金の支払は必要です。
上記の場合については、被災状況、被災地域の事業者の対応状況、当該労働の緊急性・必要性等を勘案して個別具体的に判断することになりますが、今回の震災による被害が甚大かつ広範囲のものであり、一般に早期のライフラインの復旧は、人命・公益の保護の観点から急務と考えられるので、労働基準法第33条第1項の要件に該当し得るものと考えられます。
ただし、労働基準法第33条第1項に基づく時間外・休日労働はあくまで必要な限度の範囲内に限り認められるものですので、過重労働による健康障害を防止するため、実際の時間外労働時間を月45時間以内にするなどしていただくことが重要です。
また、やむを得ず長時間にわたる時間外・休日労働を行わせた労働者に対しては、医師による面接指導等を実施し、適切な事後措置を講じることが重要です。なお、災害発生から相当程度の期間が経過し、臨時の必要がない場合に時間外・休日労働をさせるときは、36協定を締結し、届出をしていただくこととなります。
 

【Q2】震災直後には十分な企業活動ができなかったことを受けて、現在、業務量が増加し、36協定で定めた延長時間を超えることになりそうですが、どのように対応すればよいでしょうか。


[A2]労働基準法に定める労働時間の原則は、1日8時間、1週40時間とされていますが、労使協定(36協定)を締結し、労働基準監督署に届け出た場合は、協定で定める範囲内で1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて、労働させることも可能です。
36協定を締結し、届け出ている場合であっても、36協定で定める範囲を超える時間外労働をさせることはできないので、36協定で定める範囲外の時間外労働を可能とするには新たに36協定を締結し直し、届け出ることが必要です。
ただし、36協定で延長できる労働時間の限度については、大臣告示(限度基準告示)が定められており、36協定の内容は、限度基準告示に適合したものとするようにしなければならないとされています。
また、時間外・休日労働はあくまで必要の限度において認められるものですので、過重労働による健康障害を防止するため、実際の時間外労働時間を月45時間以内にするなどしていただくことが重要です。また、やむを得ず長時間にわたる時間外・休日労働を行わせた労働者に対しては、医師による面接指導等を実施し、適切な事後措置を講じることが重要です。


 以上が追加された事項を一部抜粋したものです。震災による直接的な影響はなくとも、間接的な影響を受けているという話を、行く先々で耳にします。上記には当てはまらなくても、時間外・休日労働の取り扱いについてお悩みの事業所様も少なくないと思います。労働基準法上の義務については、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案すべきものですので、具体的なご相談など詳細については、各担当者等にお問い合わせいただければと思います。
 

社会保険労務士法人 すずき事務所
社会保険労務士 野崎 弥乃
労働社会保険手続きの代理・代行
人事労務管理の相談・アドバイスな
ど依頼者の立場に立った業務姿勢
で、絶大な支持・信頼を集めている 
 

労働・社会保険情報 | 更新日:2011.05.01