有期雇用者の期間満了時における雇用保険の取扱い

雇用保険に加入している従業員が退職するとき、その退職理由によってもらえる基本手当(失業給付)の条件が変わってきます。退職理由は大きく分けて、①自己都合退職、②会社都合による退職(解雇、倒産、勧奨退職など)となります。①の場合は、基本手当を受けるまでの間、給付が受けられない期間(給付制限期間)が設けられています。一方、②の場合は、この給付制限期間がありません。また、雇用保険に加入していた期間に応じて基本手当を受けられる日数が異なります(一部同じ)。では、有期雇用者の場合はどのような取扱いになるでしょうか?

契約期間満了で離職した場合は、給付制限がありません。ただし、有期雇用を繰り返し契約期間が通算して3年以上となった場合は、期間の定めのない労働契約に準じて取り扱われます。この場合、更新時の雇止め通知がなく、労働者が更新を希望していたにもかかわらず更新されなかった場合は、解雇と同様の扱いになります。一方、労働者が更新を希望していなかった場合は、自己都合と同様の扱い(給付制限なし)となります。前者の場合、助成金の受給資格に影響が出てくるため注意が必要です。

有期雇用者が契約期間満了で退職する場合、以下の項目をチェックしましょう。
□ 契約更新をすること、またはしないことが契約締結(更新)時点であらかじめ確定しているか
□ 労働者は契約更新することを希望していたか、していなかったか
□ 労働者の契約更新の回数、通算期間(3年以上か3年未満か)


上記の状況によって、有期雇用者が基本手当を受けられる資格が変わってきます。以下のフローに沿って確認していきましょう。

(1)契約期間が通算して3年未満の場合

● 更新の確約「有」
  →労働者からの更新の希望「有」→特定受給資格者
              「無」→一般の受給資格者(給付制限なし)
● 更新の確約「無」
  →労働者からの更新の希望「有」→特定理由資格者
              「無」→一般の受給資格者(給付制限なし)

● 更新しないことが確定している→一般の受給資格者(給付制限なし)

※「更新する場合がある(ありうる)」の明示は確約ではありません(確約「無」となります)。


(2)契約期間が通算して3年以上の場合

● 雇止めの通知「有」
  →労働者からの更新の希望「有」→特定受給資格者
              「無」→一般の受給資格者(給付制限なし)
● 雇止めの通知「無」
  →労働者からの更新の希望「有」→解雇と同様
              「無」→自己都合と同様(給付制限あり)

※雇止めの通知とは、契約締結(更新)時に今回の契約で最後の契約(更新しない)となることを通知することをいいます。雇止めの予告とは異なります。


(3)60歳定年後の再雇用の場合

● 継続雇用制度「有」
  (再雇用しない場合)
   →労働者からの継続雇用の希望「有」→労使協定の基準を「満たす」→勧奨退職
                             「満たさない」→定年
                 「無」→定年
  (再雇用した場合)
   →継続雇用制度の「終期到来」→定年
           「終期到来前の期間満了」→通常の契約期間満了
                        (上記(1)または(2))
● 継続雇用制度「無」→特定受給資格者


※特定受給資格者・・・会社都合により離職を余儀なくされた者
※特定理由離職者・・・有期雇用で労働者が契約更新を希望したにもかかわらず更新されなかった場合などの離職者(平成24年3月31日までの間に離職したものに限る)
※継続雇用制度・・・定年後も希望者を引き続き雇用する制度。年金(定額部分)の引き上げに合わせて高年齢者の雇用を確保することが義務付けられています。平成25年3月31日までは「64歳」、平成25年4月1日以降は「65歳」が義務対象年齢となっています。継続雇用制度は労使協定により定めなければなりません。


有期雇用による非正規社員が増大していく中、「更新すると言っていたのに会社から切られた」などのトラブルが多くなっています。契約締結(更新)時に更新について労働者によく説明し、認識の食い違いが起こらないように日ごろから労務管理に気をつけましょう。


※最終的な受給資格の決定はハローワークの判断によるため、上記取扱いと異なるケースがあります。

 

執筆者紹介:
社会保険労務士 横島 洋志(よこしま ひろし)
社会保険労務士法人すずき事務所勤務。茨城県出身。
法学部卒業後、大手飲料メーカ、広告代理店などを経て、平成19年から当事務所に勤務。
同年社会保険労務士の資格を取得する。約20社の顧問先を担当し、特に出産・育児関係
の手続き、就業規則を多く手掛けている。セミナーでの全国ツアーと本を出版するのが
今の夢。ジムで汗を流すこと、読書が趣味。

採用・労働・社会保険情報 | 更新日:2011.05.20