パワーハラスメント、起きていませんか?
企業における能力主義、成果主義の進展により、仕事量の負担の増加、希望退職や配転、リストラなどが起こり、従業員のストレスは増加してきています。職場では、仕事の結果やスピードが重視され、ミスは許されないなど、労働環境は悪化しています。このような背景のもと、パワーハラスメントが非常に重要な問題として取りざたされています。
パワーハラスメント(以下、「パワハラ」と言う)とは、職場において、職務上の地位や影響力に基づき、相手の人格や尊厳を侵害する言動を行うことで、その人や周囲の人たちに身体的・精神的な苦痛を与え、就業環境を悪化させる行為を言います。
実際の職場において、上司が部下を叱責することは多くあると思います。しかし、この叱責が、指導監督の範囲内なのか、もしくは、パワハラと認定されてしまうのかが問題です。
ところで、同じ叱責でも、「叱る」と「怒る」があります。
「叱る」は、相手のことを考え、相手に非や責を理解させるために働きかけることで、相手をより良くしようとする注意やアドバイスを、あえて声を荒げたり語気を強めたりして相手に伝える動作です。「怒る」は、ただ単に自分の感情を表現し、自分自身が腹を立てたことを相手にぶつけることで、自身の目的が果たせればそれでよく、相手がどのように感じるか等を気にしない動作です。ですから、「叱る」行為は、相手を思う気持ちが強く、叱る本人の感情が抑えられているため、相手が素直に聞くということから、双方向のコミュニケーションと言えます。一方、「怒る」行為は、自分の不快な気持ちを相手にぶつけるだけですので、感情的になってしまう結果、相手は反発を招いたり、落ち込んだりということになり、一方通行の感情表現であると言えます。
パワハラは、「怒る」行為と言えます。怒る行為の態様が相手の人格権を侵害すると判断されれば、パワハラに該当し違法と言うことになります。
判例では、行為の態様、行為のなされた状況や場所、行為者の意図、職務上の地位、行為の反復・継続性等を総合的に判断して、社会的見地から不適当と判断される指導の場合には、一般的に相当程度心理的負荷の強い出来事であり、人格権の侵害として違法と判断しているようです。
パワハラによる損害が認定されると、加害者個人に対しては、不法行為による損害賠償責任(民法709条)が、会社に対しては、職場環境配慮義務違反(民法415条)が問われることがあります。
パワハラ対策に対して1番大切なことは、パワハラを起こさない環境を作る、ということです。そのためには、未然の防止策が必要です。社内において、階層別の研修を行ったり、逆に上司と部下が一緒にディスカッションしながら研修を行うなど、パワハラに関しての認識を深め、周知することが大切です。また、社内通報制度や相談体制の確立を図ることも重要でしょう。
パワハラからくるメンタルヘルスや過労自殺は年々増加しています。メンタルヘルスの患者が出た場合、復帰までには多大なコストと時間がかかりますし、過労自殺や訴訟となれば、企業の法的責任が問われ、コストや時間もさながら、企業の評判や信用が落ちることになります。企業の健全な発展のためにも、パワハラを出さない環境づくりを行うことが重要です。
社会保険労務士法人すずき事務所
特定社会保険労務士 中川 美弥
特定社会保険労務士 中川 美弥
執筆者紹介:法学修士。学校法人総務課、
大阪の社労士事務所を経て、当事務所勤務。
労使紛争防止、解決に特化し、中小企業の
事業主様の強い味方となるため、日々研鑽
大阪の社労士事務所を経て、当事務所勤務。
労使紛争防止、解決に特化し、中小企業の
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を積んでおります。









