60歳台前半の在職老齢年金(働きながら年金を受けられる人)のしくみ

  60歳以降、厚生年金保険に加入して働きながら老齢厚生年金を受けられる場合、賃金額(賞与を含む)に応じて年金額の一部または全部が支給停止されます。これを「在職老齢年金」といいます。この在職老齢年金は、60歳から65歳になるまでの「60歳台前半」と、65歳から70歳になるまでの「60歳台後半」で、支給停止の計算方法が異なります。
  今回は、「60歳台前半」の在職老齢年金について解説いたします。
 なお、雇用保険に加入している従業員が60歳以降65歳になるまでの間、一定の要件を満たしている場合、賃金額が60歳時点より75%未満に低下したとき、その低下幅に応じて雇用保険から「高年齢雇用継続給付」が支給されます。この給付金と年金額についても調整が行われますが、これについては、回を改めて解説したいと思います。
 

●「28万円」と「46万円」が目安
 年金額と賃金額はどのように調整されるのでしょうか?
 年金額については、特別支給の老齢厚生年金(加給年金を除く)を12(月)で割った額を「基本月額」とします。
 賃金額については、その月の標準報酬月額(賃金の区分に応じて定められた保険料算定の基礎となる額)とその月以前1年間の標準賞与額(賞与額の千円未満の端数を切り捨てた額)を12(月)で割った額の合計額を「総報酬月額相当額」とします。
 この「基本月額」と「総報酬月額相当額」を合計した額に応じて、以下のように年金の停止額が決まります。



※支給停止額の計算の基準となる「28万円(支給停止調整開始額)」と「46万円(支給停止調整変更額)」は、賃金や物価の変動に応じて毎年見直されます。
※加給年金額の加算がある場合は、基本月額が一部でも支給されていれば全額加算され、基本月額が全額支給停止されていれば、加給年金も全額支給停止となります。加給年金とは、厚生年金保険に20年以上加入していた人が老齢厚生年金を受けるようになったときに、一定の要件を満たした生計を維持している65歳未満の配偶者および子(18歳年度末までの子または20歳未満で障害等級1級または2級の子)がいる場合に加算される扶養手当のようなものです。

 


【Vol.27掲載の訂正とお詫び】
 Vol.27で掲載いたしました「両親そろって育児休業は取れる?」のコーナーにおきまして、パパ・ママ育休プラスを利用した場合について図(パターン②~④)を例示しましたが、保育所に入所できないなどの一定の要件を満たした場合の母親の1歳6ヵ月までの延長開始予定日が「1歳」からとなっていました。パパ・ママ育休プラスを利用した場合の延長開始予定日は、「1歳の誕生日以後の本人または配偶者の育児休業終了予定日の翌日」となるため、正しくは「父親の育児休業予定日の翌日」(下図の太点線)が延長開始予定日となります。
ここに訂正とお詫び申し上げます。


パターン②:両親ともに産後休業終了日の翌日から育児休業を開始した場合(パパ・ママ育休プラス)



パターン③:母親の育児休業開始後に、父親が育児休業を取得した場合(パパ・ママ育休プラス)



パターン④:母親の産後休業中に父親が育児休業を取得し(パパ休暇)、母親の育児休業開始後に、再度父親が育児休業を取得する場合(パパ・ママ育休プラス)


 


執筆者紹介:
社会保険労務士 横島 洋志(よこしま ひろし)
社会保険労務士法人すずき事務所勤務。茨城県出身。
法学部卒業後、大手飲料メーカ、広告代理店などを経て、平成19年から当事務所に勤務。
同年社会保険労務士の資格を取得する。約20社の顧問先を担当し、特に出産・育児関係
の手続きに注力している。
 

労働・社会保険情報 | 更新日:2011.12.07