“タスク・シフティング”で、医師の長時間労働が改善!?

昨年から今年にかけて話題となった“医師の過労自殺”や“病院への労働基準監督署の立ち入り調査”。これらをきっかけに、各病院で医師の労働時間を見直す動きがあるようです。
 
クオリティの高い医療を提供していくためにも、医師の就労環境を整えていくことはとても重要です。では、どのように改善していけばよいのでしょうか?
 
今回は、医師の労働時間の現状と“タスク・シフティング”について見ていきましょう。

週80時間以上勤務している医師も!
 
平成29年9月21日、『第2回 医師の働き方改革に関する検討会』の資料(全国の医師約10万人に調査)が厚生労働省により発表されました。
 
調査結果によると、“1週間の勤務時間が60時間以上の常勤医師”は全体の約40%だったことが判明しました。なかには、1週間に80時間以上勤務している医師もいるようです。
 
なお、“1週間の勤務時間が60時間以上の常勤医師”の診療科別割合は、以下のとおりです。
・産婦人科 53.3%
・臨床研修医 48.0%
・救急科 47.5%
・外科系 46.6%
・小児科 44.6%
・内科系 39.9%
 
以下、麻酔科や放射線科、精神科などが続き、いずれも30%前後という結果でした。
 

ちなみに、長時間労働の原因は大きく分けて以下の2つです。
(1)診療のため
(2)技術や知識の向上を目的とした勉強会への参加や研究のため
 
診療に関しては、急患への対応や手術、外来対応の延長などにより、時間外労働が生じているようです。また、患者の対応に伴う事務作業も時間外勤務が発生する要因となっています。
 
 
タスク・シフティングで労働時間を削減できる!?
 
こうした医師の長時間労働を改善するためには、“タスク・シフティング(業務移管)”の導入を進めていく必要があるでしょう。
 
“タスク・シフティング”とは、現在医師が行っている業務を“看護師”や“医師事務作業補助者”へ分担させることです。
 
◆医師事務作業補助者への業務移管の例
・診断書の代筆および代行入力
・民間保険会社からの診断書などの代筆および代行入力
・主治医意見書の代筆および代行入力
・患者の退院に係る調整業務  など
 
◆看護師への業務移管の例
・点滴の実施
・静脈ラインの確保
・尿道カテーテルの留置
・静脈注射の実施 
・気管カニューレの交換 など
 
このような業務を分担させるにあたり、厚生労働省は『業務移管等は労働時間削減等の効果が期待できるものの、段階的に進めていくことを前提に議論すべき』としています。
 
まずは、創傷に対する陰圧閉鎖療法などの“特定行為”を行うための、特定行為研修を修了した看護師を増やすことが必要といえるでしょう。
 
なお、厚生労働省は特定行為研修の修了者を増やすため、都道府県に対して2018年4月より『特定行為研修の地域での受講に向けた、指定研修機関や実習を行う協力施設の確保』を医療計画で具体的に記載するよう求めています。
 
このほか、医師の勤務時間の是正を目的として“タスク・シェアリング”も注目されています。これは、主治医を一人に限定するのではなく、複数の主治医がシフト制で患者を診療していく体制のことです。
 

皆で仕事を分担しながら、医師や医療スタッフの就業環境を整えていくことが、今後の病院経営の課題となってくるでしょう。

医療・福祉 | 更新日:2018.02.15