重要性が増す歯科との地域連携

近年の歯科医療は、国民意識の高まりと歯科技術の発達により、小児のう蝕(虫歯)の減少、高齢者の残存歯数の増加といった傾向が顕著になっており、歯を残すことに関しては良好な結果となっています。

一方、高齢化に伴い、高齢者の歯周病が増加しています。歯周病は糖尿病との密接な関連が指摘されており、HbA1cの値を改善するために歯科との連携を加速させる必要がありそうです。

歯周病は口内の歯周病菌により歯茎に炎症が起きる病気です。

一昔前までは歯科領域にとどまっていた疾患ですが、近年、全身に及ぼす影響が指摘されているのはご承知のとおりです。

例えば、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)や骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などが多いといわれていますが、なかでも、糖尿病との密接な関連が相次いで指摘されています。


「糖尿病診療ガイドライン2016」によると、歯周病を有する患者は非歯周病者と比較して糖尿病の有病率や発症リスクが高いほか、歯周炎の重症度が高いほど血糖コントロールが困難になると報告されています。

また、糖尿病患者における歯周病のリスクも伝えられています。

2型糖尿病患者ではHbA1cが6.5%以上になると歯周炎の発症や歯槽骨吸収の進行が高まるほか、糖尿病患者における歯周病重症度は有意に高い、などです。
 

さらに怖いのは、重度歯周病を有する糖尿病患者は糖尿病腎症、虚血性心疾患になりやすいともいわれていることです。

内科を標榜する診療所では、糖尿病の患者さんを診療されているところも多いと思いますが、重度の歯周病を患っていた場合、糖尿病腎症の発症、ひいては末期腎不全への進行、あるいは心筋梗塞の発症に伴う死亡などのリスクが高まります。
 

患者さんの歯周病の状況については常にチェックしていくことが肝要です。

現在、糖尿病診療においても教育入院や栄養指導、日常診療の役割分担により適切な血糖コントールをしていこうと、連携パスを用いた病院と診療所の医療連携が全国各地で行われています。

連携パスとは、どの時期にどの医療機関がどのような治療を担当するかなどが記載された工程表ですが、最近では連携パスに歯科医による診療が組み込まれ、定期的に糖尿病患者の口腔内状況をチェックするという取り組みも行われているようです。
 

前述のガイドラインでは、2型糖尿病患者の歯周病を治療するとHbA1cの値が改善する可能性があるとも指摘しています。糖尿病診療において歯科医との連携は今後必須になるといえそうです。

医業マーケティング | 更新日:2017.08.15